VTKはPython3のラッパーを含むPythonホイールを作成することをサポートしています。これはVTK_WHEEL_BUILD
フラグを設定することでサポートされ、ホイールが期待するようにビルドディレクトリ構造を変更します。
一度設定すると、ビルドツリーは通常どおりにビルドされ、生成されたsetup.pyファイルがホイールの作成に使用されます。なお、bdist_wheel
コマンドはwheel
パッケージが利用可能であることを要求します(pip install wheel
)。
以下に、VTKのソースへのパスを指定して、Pythonホイールをビルドするための基本的なコマンドを示します。
cmake -GNinja -DVTK_WHEEL_BUILD=ON -DVTK_WRAP_PYTHON=ON path/to/vtk/source
ninja
python3 setup.py bdist_wheel
任意のモジュールを通常のVTKビルドと同様にオンまたはオフにすることができます。特定のモジュールは、その可用性を示すために生成されたホイールに機能を追加します。これらのフラグは包括的を目指しているわけではなく、必要に応じて任意の機能フラグをCMake/vtkWheelFinalization.cmake
に追加することができます。
ホイールは、システムや他のホイールとの競合を避けるため、そのホイールに外部のサードパーティライブラリ(例:X11、OpenGLなど)を含めません。
ホイールを生成する際に、配布名やホイールバージョン文字列に接尾辞を追加することができます。デフォルトでは、配布名はvtk
ですが、VTK_DIST_NAME_SUFFIX
CMake変数を介して接尾辞を追加することができます(例:VTK_DIST_NAME_SUFFIX
をosmesa
に設定すると、配布名はvtk_osmesa
になります)。vtk
とVTK_DIST_NAME_SUFFIX
の値の間には自動的にアンダースコア(_
)が挿入されます。
パッケージのバージョン(例:9.2.2.dev0)にはデフォルトでdev0
が追加されます。この接尾辞はVTK_VERSION_SUFFIX
CMake変数を通じて制御でき、複数のホイールを生成し、パッケージのバージョン文字列によってビルドのバリアントを区別したい場合に便利です。
以上が、PythonでVTKホイールをビルドする基本的な手順となります。詳細なビルド手順については、公式のVTKドキュメンテーションをご覧ください。.