Pythonのリスト内包表記は、リストを生成するための簡潔で効率的な方法です。しかし、リスト内包表記とappend
メソッドを組み合わせるときには注意が必要です。
appendメソッドとリスト内包表記
Pythonのappend
メソッドは、リストの末尾に要素を追加するためのメソッドです。しかし、このメソッドはリスト自体を変更し、None
を返します。そのため、リスト内包表記の中でappend
メソッドを使用すると、予期しない結果を得ることがあります。
例えば、次のようなコードを考えてみましょう。
a = [[1,2], [3,4], [5,6]]
a = [x.append('a') for x in a]
このコードは[None, None, None]
を返します。なぜなら、append
メソッドはNone
を返すからです。しかし、元のリストa
は[[1, 2, 'a'], [3, 4, 'a'], [5, 6, 'a']]
に変更されます。
解決策
リスト内包表記の中でリストを変更したい場合は、for
ループを使用することをお勧めします。
x = [[1, 2], [3, 4], [5, 6]]
for sublist in x:
sublist.append('a')
このコードは、元のリストx
を[[1, 2, 'a'], [3, 4, 'a'], [5, 6, 'a']]
に変更します。
しかし、リスト内包表記を使用してリストを変更したい場合は、次のようなトリックを使用することもできます。
a = [[1,2], [3,4], [5,6]]
a = [x.append('a') or x for x in a]
このコードは、append
メソッドがNone
を返すため、or
演算子がx
('a'
が追加されたリスト)を探しに行くからです。
以上が、Pythonのリスト内包表記とappend
メソッドを組み合わせる際の注意点と解決策です。Pythonのリスト内包表記は非常に強力なツールですが、その動作を正しく理解することが重要です。