Pythonで割り算を行うと、結果は浮動小数点数になります。しかし、浮動小数点数の精度は倍精度の64bitで、16桁ほどしか精度が担保されません。これは、コンピュータが2進数で数値を表現するため、10進数の小数を正確に表現できない場合があるからです。
例えば、0.1 + 0.2 の結果は 0.30000000000000004 となり、期待した 0.3 とは異なる結果になります。これは、0.1 や 0.2 が2進数では無限に続く小数になるため、一定の桁で丸められてしまうからです。
このような問題を解決するために、Pythonでは decimal モジュールや fractions モジュールが提供されています。
decimal モジュールを使うと、10進数小数を正確に計算することが可能です。以下にその使用例を示します。
from decimal import Decimal
print(Decimal('0.1') + Decimal('0.2')) # 0.3
print(Decimal('0.1') * Decimal('0.2')) # 0.02
しかし、decimal モジュールを使っても割り算の結果は正確にならない場合があります。そのため、割り算を含む計算を行う場合は fractions モジュールを使用することを推奨します。fractions モジュールでは、小数を分数として扱うことで、誤差なく計算を行うことができます。
from fractions import Fraction
print(float(Fraction('0.1') + Fraction('0.2'))) # 0.3
print(float(Fraction('1') / (Fraction('1') / Fraction('60')))) # 60.0
ただし、fractions モジュールを使用すると計算速度が遅くなるため、計算の精度と速度のトレードオフを考慮する必要があります。
以上がPythonにおける割り算の精度とその対処法についての説明です。この情報が皆さんのPythonプログラミングに役立つことを願っています。